◇　大阪の老舗活版印刷会社の日々の日記　◇

昨日美術系の大学の先生と生徒さんが弊社に相談に来た

その生徒さんはかなり優秀な子で　モノづくりを将来していきたいと

特に版画の専攻なので活版印刷に大変興味があるということで

見学がてら相談に来た　その子は本当に活版が大好きなのであろう

帰り際に俺はハイデルの動かし方を少し教えてあげてこれも経験のうち

ということで一回動かしてみというと目をキラキラと輝かせて嬉しそうであった

俺は最初に言い放った　活版なんてやめときと　食うてもいけないと思う

活版印刷のみで食うて行くならそりゃそりゃ並大抵の―努力では難しい

それは技術的なものでなく　なんていうのかなぁ　印刷業界には俺は

入らない方がいいと思う　今後も斜陽産業の典型だと思うから

よっぽど好きでほかのことを並行してやればええけど印刷という業界は

これから一気に加速して下降すると俺は感じる

だからそんな君みたいな２１歳の若者に対してはウエルカムなんて

口が滑っても言えない　やめときと俺は言い放った

でも俺はなんでもこう考える　この世の中には安定しているものは

一切ないと思う　切っても切れないものはある　それは血縁　血ということ

しかし絶対安定なんてこの世には皆無　ネガティブに言い換えると一寸先は闇

色々な事業や企業　右肩をずっと上がっている会社なんて無し

今ずっと上がってても必ず落ちる　今栄えてても必ず滅びる栄枯盛衰

良い時は続かない　いやいや反対には悪いことも続かない

ずっと平行線なんていうのもありえない

昔みたいに年功序列なんて馬鹿な法則なんて皆無

変な話　実力主な世界である　共存共栄を綺麗に謳っても

最終的には共倒れになって沈没するのも自分次第

大きな客船に乗り　沈没する間際に救命ボートで逃げるのも手のうち

共に沈んで死んでしまうのも覚悟

まぁ俺に相談しに来てもあまり適格には回答はできない

その子に言った　君はまだ２１歳や　まだまだこれからの子

まして先生方がみな　太鼓判を押すという実力と学力があるなら

俺は自分の思うがまま進めばおそらく３５歳前後にならないと己の

道はわからないと思うよ

あまり上手には言えないが人生は平等に一回切り

定説や定番に振り回されず色々な人にワイワイガヤガヤと

指示やアドバイスを受けても結局は己の尻は己が拭かなあかんの

何があるかこの世の中はわからない　安定を反対に求めるほど

愚かなものはなし

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